荒木久子句集『花あかり』

藍生の「海燕の会」で、20年以上お付き合いいただいた荒木久子様の句集が出来上がりました。あかり俳句会の会員様です。

空の写真なのかしら。うすももいろとうすむらさきいろの雲がとても華やかでうつくしい装丁です。もちろん名句ぞろいです。

荒木様と鎌倉近辺を毎月吟行し、句会をしてきました。22年間も。

わたしは幹事役で、一番年下なのに、句会の選評をさせていただいていました。

あるときは、句会仲間が、全員分の手作り弁当をご用意くださり、長谷寺の境内でいただいたり。荒木様の自家製のお漬物もおいしくいただきました。

この句集は、わたしも念願のお句集。序文を書きました。

題してー涼しの女人ー。

東京四季出版より刊行。編集長の上野佐緒様に、荒木様が惹かれたから叶いました。

 毛虫焼く女に迷ひなかりけり   荒木久子

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星槎文芸大賞

「詩とファンタジー」(かまくら春秋社)No.48 は、詩人の三木 卓さんの追悼号です。

三木さんのあたたかな詩のこころがじんと伝わってくる特集号です。

この号に、「星槎文芸大賞」が発表されています。「星槎文芸大賞」は、星槎学園に学ぶ中学・高校の生徒さんの創作活動を応援する賞です。

わたしは、俳句の受賞作品を短評させていただきました。素直で新鮮な俳句作品でした!

  

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「江古田文学」116

浅沼 璞氏の「俳句における季語の境界―無季俳句からの照射」(『江古田文学』116)に、小誌「あかり」の創刊号に掲載したヴラディスラバ・シモノヴァさんの俳句とエッセイが引用されました。

浅沼氏の論は、新興俳句運動における、季題季語を超える新たな「題」「語」の創出としての「戦争」という語についての考察が展開されていました。シモノヴァさんの戦争俳句に注目されたのです。

シモノヴァさんの戦争の作品に、季語のない俳句はありますけれど、季語を入れた戦争の俳句もあります。季語のない作品は、私なりに彼女の作品から季語のように解釈して季語を入れる翻訳は可能でしたけれど、作品を忠実に翻訳いたしました。彼女は、季語を入れる余地のない作品のときに、季語を入れないのかしら。ご本人は、どのようにお考えなのか伺ってみたいですね。

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「あかり」vol.2発行

年2回発行の「あかり」の第2号をようやく発行いたしました。

「あかり」2号には、あかり俳句会のみなさまの俳句とエッセイの力作をはじめ、

作家の森 詠先生による黒田杏子先生とのご交流のエッセイ、

十三回忌の眞鍋呉夫先生特集、

「あなたのHAIKU」として Ms.Abigail Friedman から俳句とエッセイ、

俳句の教育現場のレポート、

作家の森 千春先生のエッセイなど盛りだくさんです。

ウクライナの Ms.Vladislava Simonova は創刊号に続き、俳句とエッセイを送ってくれました。

私も「晩年の眞鍋呉夫先生」などをあらたに書きました。

一刊をすべてPDFで、自宅編集です。表紙はフランス在住の息子がイラストレータで。

文字化けと闘いながら、最後にみごと負けて誤字があり、反省しています。心よりお詫び申し上げます。

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俳句と教育 「俳句」4月号

角川の『俳句』4月号の大特集は、「俳句と教育」。

わたしも子育て中から、俳句は子どもの教育に役立つ文芸だろう・・・と思っていた。

日本語ということば。季語という日本の自然、日本の生活の営みのことば。

ことばを学びながら、詩心を育てる俳句。

俳句は季語を学びながら、自然を大切に思う心も耕す。

『俳句』の特集は、教育における俳句の可能性を示す、好企画だったとおもう。

わたしは「小・中学生に俳句を教える」というテーマをいただいたので、「小・中学生と楽しく俳句」を寄稿した。

良き指導者として、先輩俳人の遊田礼子さんをご紹介し、私の子育てのなかで、小学生と俳句についてのエピソード、授業のレジメ原稿、小・中学生への俳句指南、子どもの俳句と大人の俳句について書いた。

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『花巡る 黒田杏子の世界』

黒田杏子先生の一周忌に、『花巡る 黒田杏子の世界』が藤原書店より発刊されました。

交遊のあった文化人・俳人・「藍生」会員など140名の寄稿文集です。

原稿締め切りまで二週間という短期間でしたが、私は書きたかった「黒田杏子の俳句巡礼―先生に捧げる小論(抄)」を寄稿しました。書き始めると、4000字を超えてしまいました。先生にお読みいただきたかった小論です。

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最近の名句集を探る 座談会「俳句四季」1・2月号

「俳句四季」の「最近の名句集を探る」の座談会に、参加させていただきました。

メンバーが推薦した句集を、計6冊読み込んで、評する会でした。

筑紫磐井さんの司会で、大西朋さん、赤野四羽さんと評しあいました。

ちょうど、年末の角川全国俳句大会の選句と小誌「あかり」の編集作業が重なって、座談会の準備が大変でした。

座談会では、評者のご意見を伺いながら、自分の評を述べる楽しさを味わいました。 

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藤岡値衣句集『冬の光』 冬の光のように

藤岡値衣氏の第一句集『冬の光』(コールサック社)の書評を「コールサック」114号に2ページ寄稿しました。

藤岡氏は、「藍生」「いぶき」に所属。德島生まれの德島育ち。1960年生まれの俳人教師です。三十数年の俳句作品の集大成は、迫力があります。

 はたた神阿波女にはかなふまい   値衣

黒田杏子先生の最後の序文が、掲載されています。藤岡氏の十句鑑賞を句会で語りかけるように述べられています。

わたしは、藤岡氏の俳句における自己表出と、「冬の光」をキーワードに、鑑賞いたしました。

 冬に入る古書街だれも振り向かず   値衣

 金剛杖冬の光の片隅に

句集『冬の光』が、これから、あまたの読者の心にあたたかく厳かに差し込んでゆくでしょう。

 

     

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再来、村越化石

角川『俳句』6月号に、『生きねばや 評伝 村越化石』(荒波 力著 工作舎)の書評を寄稿しました。

  生きねばや鳥とて雪を払ひ立つ    化石

わたしが俳句を始めた1980年ごろ、村越化石は俳壇のスターでした。

ハンセン病の治療薬で失明となっても、秀句を詠み続けた村越化石の人生を辿りながら、作品と心情や信念に迫る高著です。

俳人 村越化石の生誕百年。わたしは村越化石の再来を歓びます。

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『暮らしの歳時記365日』

毎日新聞出版より俳句αあるふぁ編集部編の『暮らしの歳時記365日』が刊行されました。

暮らしの中で息づく季語を詠んだ俳句と、その瑞々しい鑑賞文と、その季語のうつくしい写真が、日本のゆたかさを伝えてくれる一書です。

そう、海外の方もよろこばれるかも。

日本の文化を海外にアピールできる高著だと思います。

私の一句もご掲載いただき、ありがとうございます。

 まつすぐに汐風とほる茅の輪かな  里美

この句は、鎌倉の鶴岡八幡宮の茅の輪を詠みました。

思い出深い茅の輪です。

あるときは、妊婦で、幼子の手をひいていたり。

あるときは、知人の病いを心配に思ったり。

その病いの方に、鶴岡八幡宮の茅の輪のかたちのお守りを買ったことがありました。

でも、その方の信仰を知らず、差し上げなかったのですが、

その方は、後に、なんと鶴岡八幡宮の墓地に入られたのでした。

颯爽としたすてきな俳人でした。

雪の名句をたくさん残されました。

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